国会の動き、政治動向

残業月100時間の政府案はまさに過労死容認法、これでは働き方改革どころか過労死が続出する

現在、4000人の皆さんから、ネット署名にご賛同いただきました。ありがとうございます。さらに広げるべく、あなたのお知り合いに、呼びかけてください。

この課題、大事な場面を迎えています。今、政府が残業時間の上限規制を何時間にするか、検討しているのです。

政府が検討している残業の上限規制が注目を集めています。「年間720時間・月平均60時間を超えないことを前提に、繁忙月には月最大100時間まで、2か月にわたって繁忙が続く場合は平均月80時間とする」というものだと報道されています。

2月1日に開催された政府の「第6回働き方改革実現会議」の資料の中には、この数字は見当たらず、議事録で連合の会長が「1カ月100時間などは到底あり得ない」と話していることが、案が水面下で議論されていることの証拠といえます(部外者には知らせず、閉じられたサークルで決めていく感じがします)。

安倍首相は1月31日の参院予算委員会で、野党議員の質問に対し、「(労働時間の)上限を決めるにあたっては、過労死基準をクリアすることは前提だ」と答えました。この言葉からすると、過労死ラインは月100時間「超」だから、100時間上限なら過労死ラインをクリアしているといった見方をしているようです。

しかし、これはとんでもない認識です。

2016年6月に厚生労働省が発表した「過労死等の労災補償状況」によれば、平成27年度(26年度)の時間外労働時間数別にみた労災支給決定件数は、月80~100時間未満のところで一番多く、死亡は49人(50人)、疾患全体で105人(105人)です。時間外60~80時間未満の労働でも、死亡4人(10人)、疾患全体11人(20人)が労災認定されています。

政府案は、まさに過労死容認法といえます。

国会でも、野党議員から「これでは働き方改革どころか過労死が続出」「過労死するまで働かせてもOKという間違ったメッセージを発することにつながりかねない。施政方針演説で電通過労自殺に触れ『二度と悲劇を繰り返してはならない』と述べた総理の発言と矛盾する」と批判があがっています。

せっかくの上限規制の法改正が、過労死容認をするようなものではあってはなりません。

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▼いわゆる「過労死ライン」とは

脳・心臓疾患に係る労災認定基準においては、週40時間を超える時間外・休日 労働がおおむね月45時間を超えて長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まり、発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって1か月当たりおおむね80時間を超える時間外・休日労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとみなされる。

▼現行の労働時間法制は青天井

労働基準法が定める法定労働時間は、休憩時間を除き週40時間・1日8時間だが、同法36条に基づく労使協定(サブロク協定)を結ぶと、厚生労働省が定めた時間外労働の限度基準である月45時間、年間360時間まで残業が可能になる。しかし、これも上限ではなく、36協定に「特別条項」を付ければ、年6回まで限度基準を超えた残業が可能になる。特別条項付き36協定については、法令の上限規制はなく、労使当事者間の協議に委ねられている。このため、日本の労働時間規制は、事実上、青天井と批判されている。

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