ACTION(取り組み)

「わたしの仕事8時間プロジェクト」署名提出のご報告(署名数1万5千筆、コメント1,500件を提出)

「私の仕事8時間プロジェクト」は、2017年12月6日(水)に、これまで集まった署名とコメント一覧を厚生労働省に提出しました。

6日までの署名数は15,044筆、コメントは1,500件以上ありました。たくさんの声を寄せて下さり、本当にありがとうございます。

署名の提出にあたって、厚生労働省に要請内容と寄せられた思いをプロジェクトメンバーから伝え、意見交換を行いました。(※この厚労省との意見交換について、上西充子法政大学教授がYahoo!ニュースに解説記事を書いてくださったのでぜひ参照ください→ 「働き方改革」一括法案、連日24時間勤務の命令も可能に。制度の欠陥では、との問いに厚労省担当者は沈黙

いま多くの人が8時間で帰れる労働環境を望んでいるということ。8時間労働規制が十分に機能していない実態。そのせいで私たちが強いられている苦しみ。そして、長時間労働による社会的な損失についても話しました。

要請を受けた労働基準局の担当者は、「要請趣旨には賛同する」と答え、また「1,500人もの意見とはすごい。アンケートでもこれほど集めるのは大変で、貴重な意見集をいただいた」と受けとめていました。

しかし、2018年通常国会に出されるはずの「働き方改革」一括法案(未公表)は、どの部分についても、私たちの要請内容とは逆を向いたものになっていると考えます。

想定される法案内容は、残業時間の上限規制は過労死ラインまで容認するもので、インターバル制度も努力義務に過ぎません。

とりわけ、裁量労働制の拡大と「高度プロフェッショナル制度」の創設は、8時間労働という世界共通の原則を破壊し、確実に過労死を促進するものです。決して許せません。

プロジェクトメンバーからは、この問題を繰り返し厚生労働省の制度担当者に訴えました。それでも、担当者のコメントは「同じ思いとはいえ、現実があるので、できるところからやっていくしかない。皆さんとの違いは、その道筋についてだと考える」という非常に残念なものでした。

裁量労働制や高度プロフェッショナル制について、私たちが具体的な問題点を指摘して撤回を求めても、検討する姿勢すら示しませんでした。

署名提出と要請を通じて痛感したのは、内閣・首相官邸の強い圧力のもと、法案づくりを担当する官僚は従わざるをえない構造がある、ということです。

でも、そもそも政府や厚生労働省は、国民や労働者を守るために存在しているのではないのでしょうか?

8時間働いたら帰る、それで暮らせる社会を実現するには、私たちの声を広げ、世論をもっともっと強く、大きくする必要があります。今後もそのためにあらゆることをやっていきましょう。

政府に本物の「働き方改革」である「8時間働いたら帰る、暮らせるワークルール」づくりを先導させ、それぞれの職場に定着させていくアクションは、これからが正念場です。

********************

「わたしの仕事8時間プロジェクト」厚生労働省担当者との質疑概要(一部)
日時:2017年12月6日(水)11:00~12:10
当方(○):「わたしの仕事8時間プロジェクト」メンバー6名
先方(●):厚生労働省労働条件政策課 課長補佐・金子正氏、法規係員・榎孝謙氏

〈「高度プロフェッショナル制度」について〉

○ 法案の「高度プロフェッショナル制度」の年収要件は1,075万円だと報道されているが、そうなのか。

● 法律には平均給与の3倍の額を相当程度上回る水準と書く。パートを含めた平均給与は現在300万円強であり3倍であれば900万円台になるが、それを相当程度上回るとして1,075万円と省令で示す。それだけの高収入がある人であれば、使用者に対して交渉力が高い。そういう人に限るとしている。

○ 前の厚生労働大臣は、経済団体との朝食会で、「高度プロ制度は小さく産んで大きく育てる」といったそうだが。要件はいずれ下げられるということではないのか。

● かつて、年収400万円を基準とした制度が提案されたことがあった。使用者側からはそういう要望があり、それを立法化しようとした経緯がある。しかし、前大臣の発言は、今度の制度は小さく産んで大きく育てるというものではない、というものだった。一部を切り取られて使われて誤解を広げてしまった。要件を下げるつもりはない。

○ リークされた大臣発言をみると、たしかに「我々としては小さく産んで大きく育てる、という発想を変える」と言っているようだが、その文脈は要件を下げないというものではなかったのではないか。「少ないところでスタートし、とりあえず入っていく。経団連が1,075万円の年収要件を下げると言うので批判が大量にきている。そこは、ぐっと我慢してほしい。とりあえず通す」と言っている。いずれは年収要件を下げて、規制の適用を外してもよい労働者を増やすから、今は我慢してとの趣旨にしか聞こえないが?

● ……(答えず)

○ 高度プロについて、「年収が高ければ、使用者に対して交渉力が高い」というが、なぜそう言えるのか。管理監督者でもないはずで、それなのに裁量が高いなどといえる根拠はなにか。

● 管理監督者とはまったく別の枠組みで考えている。年収が高い高度な専門職で、裁量があって自律的に働くことができ、交渉力が高く、自分の意志で他の会社に転職ができるような人たちを想定している。

○ 専門性が高いからといって、人事権や業務量、納期を決められるような管理権限まで与えられるわけではない。それで仕事の裁量が高いといえるのか。また、専門業務名を例示したあとに「等」とつけ、使用者の言い分で対象職務を拡げられるようになっている。労働基準監督官が「この業務は専門職に該当しないから違法」などと指摘し、是正させることができるのか。実際に、専門業務型裁量労働制の濫用の事案では、労働行政は是正指導ができていない。裁判に訴えて、ようやく違法な適用だと認めさせた事案が数例あるだけではないか。

● それは指摘のとおり。

○ 裁量労働制とは違い、高度プロの法案要綱には、「労働時間の指示をしてはいけない」という禁止規定がない。これはどういうことか?

● ……(答えず)

○ 例えば、始業を月曜の朝命じて、連日24時間労働を土曜までさせる業務命令をだしても、違法ではない。労基法第4章のすべてから適用除外されているから、休憩・休息も与えず、割増し賃金もはらわなくても違法ではない。これは制度の欠陥ではないのか?

● ……(答えず)

○ そのようなことを許しておいて、健康確保措置をとったなどといえるのか。年間104日の休日確保、有休付与5日、あとは健康診断をするだけでも制度の導入要件をクリアする。24時間労働を連続しておこなわせて、年間6,000時間を超える労働をしても、違法とならない。これを労働基準法で認めてしまっていいのか?

● 机上ではそういう理屈になるが、そういう働き方は現実ではありえない。

○ もちろん、年間6,000時間労働は不可能だ。問題は、それを強制しても違法でないということだ。死ぬまで働かせても違法ではないということになる。「そんな業務命令はありえない」というが、実際に過労死は起きている。そういう働かせ方をする使用者は、実際に存在しているのではないか?

● ……(答えず)

○ つまり、「専門職」という縛りは効果がないということではないか。また、本人同意も要件として強調されているが、本人が同意したからといって、労働基準法の規制から免れるという発想は本来ありえない。労働基準法とは、労使双方が適用除外を望んでも、それを許さず、強行的に適用される法律。そうではないのか。

● ……(答えず)

○ 高度プロ制の導入にあたっては労使委員会での決議が必要と法案要綱に書かれている。本人同意も決議事項。ということは個人名の特定も含め、監督署への届出が義務か。

● 義務である。

○ 新しく高度プロの適用対象が個人として出てくるたびに届けるのか?

● そうではない。労使委員会の決議の有効期間をもたせる。原案では3年と考えている。

○ すると一度、監督署に届けたら、3年間は監督署のチェックなしということか。

● 決議の有効期間中は届出の必要はない。臨検などの際に、決議内容と運用の実態をチェックすることになる。

○ そのような事後チェックでは、過労死防止にはならない。高度プロ創設、裁量労働制の拡大は、どう考えてもすべきではない。廃案を求める。

〈裁量労働制について〉

○ 裁量労働が長時間労働となる傾向があることは、厚労省調査で明らかだ。企画業務型、専門業務型、いずれの裁量労働制でも、使用者は始業・終業などの時間指定をしてはならないとなっているが、実際には、それが行われ、かつ長時間働いても残業していなかったことにされている。結局、裁量などないのに、みなし労働とされ、残業代ゼロにされている。

○ 上司が裁量労働で働いている場合、裁量のないチームの部下も皆、同様の働き方を求められ、裁量的な働き方をさせられている。残業は申請しないように圧力をかけられたり、申請してもカットされるといったことは珍しくない。さらに悪質なのは、「うちは裁量制だから」という経営者の一声で、労使協定もなしに従業員の労働時間管理を放棄し、残業代を不払いとしている会社が数多く野放しになっていることだ。裁量労働制の対象業務拡大は、それ自体問題だが、より甚大な政策効果として、今もかなり広がっている裁量労働制を騙った違法・脱法的な働かせ方を促進させてしまうことが懸念される。

長時間労働と不払い労働をなくすためには、労働時間管理を使用者に義務付けることが必要だ。労災申請でも、裁判で労災における損害賠償や不払い賃金の支払いを求めるときでも、現在は労働者側に労働時間の実態について挙証責任が課せられている。過去の記録をまとめ、証拠として認めさせる作業は困難であり、多くの人が諦めてしまう。労働時間を把握し、記録をすることを、使用者に罰則付きで義務付けるべきではないか。今回の労働時間法制の審議をみていると、「建議」をまとめた段階では「労働時間管理の義務化」の論点がでていた。ところが、法案要綱になると、健康確保措置として省令にとどめられてしまっている。これでは使用者は守らない。使用者の義務として、法律に罰則付きの規定として、書き込むことが必要だ。

● おっしゃるとおりだ。今回の法改正では、管理監督者やみなし労働時間の適用者も含めて、労働時間管理を義務化することとしている。労働基準法では、管理監督者に網をかけることにしにくいので、健康確保措置として労働安全衛生法に位置づけた。ただし、省令どまりとなった。これが限界だった。

○ 労働安全衛生法に位置づけて、管理監督者も裁量労働制の適用対象者も、労働時間管理の対象として位置づけたのは、省としての知恵の出しどころだったと思う。しかし、労働安全衛生法でも罰則はつけられる? のであれば、法律に書いて罰則をつけるべきではないか。

● 労安法でも罰則はつけられるが……。

(以上)

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