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参議院選挙における労働政策に関する「各政党の回答へのコメント」 #8時間働けば暮らせる社会へ一票を #参院選2019

各政党の皆さま、「労働政策アンケート」にご回答をいただき、ありがとうございました。

内容はネット上で公開させていただきました(まだ、いただいていない政党からのご回答、お待ちしております)。有権者の皆さまには、各政党が労働政策についてどのような考えをもっているか、ぜひご覧いただきたいと思います。

なお、政党によっては賛否(○×で記載)を明記せず、記述でご回答いただいているところもありました。その際は、記述内容から「わたしの仕事8時間プロジェクト」の判断として「( )」を付した賛否を記載しました。また、回答と実際に行っている政策にズレがあると感じたところには「?」を付けました。

有権者の皆さまには、回答を読む際して、賛否(○×)だけでなく、記述もご覧いただき、かつ、回答や記述の背景についても、考えをめぐらしていただければ、と希望します。僭越ながら「わたしの仕事8時間プロジェクト」として、各政党のご回答についての受けとめを記載させていただきますので、ご参考にしていただければ幸いです。

 

自民党

全体として賛否を明らかにされず、「オブラートにつつんだような回答」という印象ですが、野党との違いは明瞭です。

Q1~3の労働時間政策については、法的規制の強化には否定的です。

今の労働基準法は、過労死が発生するレベルの長時間労働を上限としており、私たちは「上限の引き下げ」を求めていますが、それには賛同せず、現行法令の遵守が重要との回答でした(Q1)。

また、全労働団体が廃止を求める「高度プロフェッショナル制度」も「有効に活用」との回答(Q2)。残業代なしで働かせ放題となる問題に対しては、本人同意要件で濫用の歯止めをかけたとのコメントでしたが、上からの命令で「希望」させられる労働者が大半であることを理解すべきです。

裁量労働制については、調査をふまえ「制度の趣旨に適った在り方について検討」との回答でしたが、18年国会で断念した「企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大」法案の再上程は、規定路線のはずでは?(Q3)

最低賃金については、引き上げと中小企業支援への言及があり、前向きではありますが、地方間の格差をなくす視点が欠けています(Q4)。「全国加重平均1000円」は、東京をはじめ労働者数の多い大都市圏の賃金額を経済実勢にあわせて上げ、地方経済を置き去りにする方法です。全国一律最賃制に賛同する党内の動きを、党全体で共有していただく必要があります。

解雇の金銭解消ルールについては、労働契約締結時に「金銭による契約解消」に合意させる「事前型」は否定したものの、無効・違法な解雇でも金銭で雇用関係を解消してしまう制度は「労働者の保護等の観点から検討を進める必要がある」と明記(Q5)。実際に厚労省に「金銭救済制度」との名称で法案づくりをさせています。

検討中の制度は、裁判に比べて低額での解決例が多い労働審判制度をもとに「算定式」をつくり、下限だけでなく金額上限もはめ、解雇コストを「低額かつ予見可能」なものとする見通しです。これにより、使用者は、裁判の長期化や和解金の高額化をおそれず、違法な解雇に踏み切りやすくなる。いわば、「金で解雇が可能」という認識が一般化します。労働者のみが「金銭か、職場復帰か」を選べても、復帰してもまた解雇されるだけとなれば、解雇を恐れる人はモノも言えない職場になります。退職勧奨や早期退職優遇制度もとらず、気に入らない労働者は即座に首切りできる社会になるおそれがあります。

日雇い派遣の解禁は、規制改革推進会議の要望で官邸が承認した方向であるにもかかわらず、政党として賛否を示さず「政府の審議会で検討が開始されているものと承知」と、まるで他人事のようなコメントです(Q6)。2012年と15年の派遣法案の審議過程で、日雇い派遣で労災事故が多発した問題などはご承知のはずなのですが。

不安定な就業のフリーランスの保護政策については賛成とのこと(Q7)。そこは良いのですが、雇用契約で就労させるべきところを、フリーランスに置きかえる政策とのセットである点、注意が必要です。

高齢者の就労・就業を60代後半以降にひきのばしつつ、年金支給開始年齢も引き上げていく政策には反対と明言されました(Q8)。確かに「骨太方針2019」などでも、来年の通常国会に出す「高齢者雇用安定法」の見直し時に年金支給開始年齢の引き上げは行わないと明記されています。しかし、70歳までの就業・就労確保を義務化した後、年金支給の先延ばしを考えている疑いは濃厚といわれています。回答は当面の対応とみるべきでしょう。

労働基準監督官や技官、事務官増員は賛成とのこと(Q9)。しかし、政府は今後5年間で国家公務員をさらに10%削減するとの目標を6月末に出したばかりです。近年、政府は監督官の人数を見かけ上は増やしていますが、この定員削減の影響により事務官・技官が削減されたため、監督官が事務官・技官の仕事をしていて、監督行政に手が回っていません。労災認定の担当も人手不足で迅速な処理ができず、労働者の権利救済ができなくなっています。回答の通り、労働基準行政全体の増員を実施してください。

ILOハラスメント条約の批准は無回答でした(Q10)。「国内法制との整合性を今後更に検討」との回答ですが、この春、条約を批准できる立法実現のチャンスがあったのに、自民党はハラスメント禁止規定に反対し、実効性がない「防止措置」だけの法案に賛成しました。批准には「反対」と判定させていただきます。

立憲民主党

回答は記述方式のみでしたので、内容をふまえ、こちらで○×判定をつけました。

労働基準法における時間外・休日労働の上限規制については、18年国会で政府案(単月100時間未満)に対抗し、「単月80時間、複数月平均60時間」法案をだされており、引き下げに「賛成」です(Q1)。

高度プロフェッショナル制度は「廃止」と明言(Q2)。また、裁量労働制については、制度の濫用・悪用の実態にふれ、「なし崩しの適用拡大は許しません」とのこと(Q3)。ただ、「抜本的な制度改革」の方向性は不明瞭です。

最低賃金については、「立憲ビジョン2019」において「中小零細企業への支援を拡充しつつ、5年以内に最低賃金を1300円に引き上げる」方針とのこと(Q4)。全国一律制への言及はありませんが他団体の政党アンケートでは賛同されており、最低賃金1500円への通過点としての「1300円を5年で達成」という政策目標を掲げられた点、期待できます。

「解雇の金銭解決制度」の導入には反対(Q5)。心強いです。

「日雇い派遣の解禁」については直接の記述はありませんが、派遣は「専門職等に限定することも含め、抜本的な見直し」を提案(Q6)。そもそもの前提として、「無期の直接雇用」を雇用原則とし、非正規化、不安定化、低賃金化を招く労働法制緩和に反対との基本姿勢を明記されています。

フリーランスの保護については、労災保険の特別加入の対象化を検討するほか、(「雇用契約の」とありますが、おそらく)請負・業務委託契約の濫用・悪用の規制、フランチャイズを含めた労働時間・賃金、安全衛生など保護ルールの適用の在り方を検討し、働く者すべての命と健康と暮らしが守られる環境を整備すると、目配せの効いた回答です(Q7)。

高齢者の就労について、定年延長や継続雇用などを掲げるのは与党と同じですが、再雇用後の労働条件について「不合理な待遇格差」禁止(労働契約法20条)をあげている点に労働者の要求がとりあげられています(Q8)。年金については将来の給付推計の明示と「雇用との接続」「最低保障機能」強化の指摘は賛同します。ただ、支給開始年齢の引き上げへの言及はありません。*1

労働行政の人員強化については、労働基準監督官だけでなく「労働需給調整官等の増強を含む抜本的な労働法令遵守の徹底・強化策」との回答です。設問に明示しなかった、派遣事業者への監督強化を強く意識されています(Q9)。

ILO「暴力・ハラスメント条約(第190号)」については、批准・履行に「全力を尽くしてまいります」と明快。あらゆる形態のハラスメントの禁止と被害者救済制度の整備を掲げています。

*1 ここで消費税増税の際の低所得層救済策として「総合合算制度」を提案されています。この制度の原案は、医療、介護・福祉、保育等の社会保障サービスを受けた際、利用者の自己負担を世帯ベースで合算し、合計が一定額を超える場合に超過分を国が負担する仕組みです。ただ、この制度はマイナンバーの完全導入が前提であり、国が国民の収入・資産と社会保障の利用状況を100%補足した上で「一定額」を上下させることができるため、国による補填額を減少させたり、社会保障サービスを受けられる総額の絶対上限を置くなど、受給抑制を効率よく進めることができる制度に化けやすいと考えられます。

国民民主党

高度プロフェッショナル制度の廃止に「賛成」(Q2)、裁量労働制で働く人を増やすことには「反対」(Q3)と、労働時間法制を規制緩和していくことには明確に反対されています。ただし、時間外・休日労働の上限規制については、「法律の施行状況等を勘案しつつ検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずべき」との回答でした(Q1)。法律の運用、遵守の状況把握は当然ですが、労働基準法で過労死ラインの長時間労働を認めてしまっている問題について、これを是正すべきものと強く認識いただいていない点、残念です。

最低賃金については、1500円という生計費水準への言及はありませんでした(Q4)。しかし、「中小企業に適切な支援」をしつつ、通過点である1000円の早期実現と、全国一律設定の必要性は打ち出されています。

解雇の金銭解決制度の導入には「反対」(Q5)、日雇い派遣の解禁についても「反対」(Q6)という回答を明記していただきました。いずれも厚労省はすでに手をかけて進めているものですので、ブレーキをかけていただきたいところです。

「フリーランス保護政策」については、賛否の記載はありませんでしたが、記述において、「フリーランスやフリーシフト制、個人請負や一人親方、副業・兼業など、同じ働く者でありながら、労働法令等による保護から除外されてしまう働き方(働かせ方)が拡大している」という政府の「雇用形態の多様化」の手口と問題点を詳細に指摘した上で、「労働時間や賃金、安全衛生など労働者保護ルールの適用のあり方を検討し、働く者全ての命と健康と暮らしが守られる環境を整備すべき」と回答いただきました(Q7)

高齢者の就労・就業の延長をはかりつつ、年金支給開始年齢を引き上げる政策には、「反対」されています(Q8)。

労働行政に携わる人員体制強化については、労働基準監督官は増強し、「監督署による監督・指導……労働法例違反の取り締まりを徹底すべき」との回答でしたが、技官、事務官にまで言及されていません(Q9)。

ILO「暴力・ハラスメント条約(第190号)」については、批准に「賛成」と明言いただきました(Q10)。

共産党

全設問の賛否とあわせて、労働時間規制と賃金底上げの政策を軸にした記述回答がありました。その内容は、私たちの考え方と合致しています。

長時間労働が「幸福追求権を阻害し、過労死・過労自殺という悲劇までもたらし……、企業にとっても、中長期的視点から見れば優秀で貴重な人材を潰す大損害になります」との認識のもと、過労死ラインの時間外・休日労働の法的上限については引き下げに「賛成」(Q1)、高度プロフェッショナル制度の廃止には「賛成」(Q2)、裁量労働制で働く人を増やす政策には「反対」(Q3)。「安倍政権のニセモノの『働き方改革』に反対し、『8時間働けばふつうにくらせる社会』の実現をめざし……まず長時間過密労働を法律で厳しく規制する」という言葉どおりの回答です。

最低賃金については「全国一律、今すぐ時間額1000円、早期に1500円」という政策に「賛成」(Q4)しています(Q4)。残業規制をするには大幅な賃上げが必要として、「440兆円にものぼる大企業の内部留保のごく一部を賃上げに回すとともに、中小企業については賃上げ支援予算を1000倍の7000億円に増額し、社会保険料の事業主負担分を減免する」などの政策を付言されています。

安倍政権が行おうとしている雇用の規制緩和については反対しています。解雇無効時の金銭解消制度には「反対」(Q5)。日雇い派遣の解禁も「反対」(Q6)。フリーランスに一定の保護をかける政策には「賛成」というスタンスです(Q7)。

高齢者の就労・就業を60代後半以降にひきのばしつつ、年金支給開始年齢も引き上げていく政策には「反対」(Q8)。労働基準監督官、技官、事務官の増員には「賛成」(Q9)。政府による公務員定数の削減方針を止めていただくことを期待します。

雇用労働者だけでなく、就活生やフリーランスも含めた、あらゆる形態のハラスメントを禁止したILO「仕事の世界における暴力とハラスメントに関する条約(第190号)」を日本が批准することには「賛成」の立場(Q10)。19年国会におけるハラスメント関連法案審議の際には、共産党は独自案を提出し、政府法案に唯一反対していました。

社民党

全設問について賛否を明らかにされました。いずれの回答も、私たちの考え方と合致しています。

「安倍政権が推進する『企業が一番活躍しやすい国』づくりのための『働き方改革』ではなく、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)とワークライフバランスの実現、雇用のセーフティネットの強化に取り組みます」とのコメントもいただきました。

労働基準法第36条第5項に規定された、36協定の特別条項の上限(時間外・休日労働)を引き下げることは「賛成」(Q1)、高度プロフェッショナル制度の廃止に「賛成」(Q2)、裁量労働制で働く人を増やす政策には「反対」(Q3)と明言されています。

最低賃金については「地域別から全国一律に転換し、時給1000円にしたうえで、1500円をめざす」との公約をかかげており、設問に「賛成」しています(Q4)。
雇用政策に関しては、安倍政権の進める政策に反対する姿勢が明らかです。解雇無効時の金銭解消制度には「反対」(Q5)。日雇い派遣の解禁も「反対」(Q6)。フリーランスなど雇用によらない働き方に一定の保護をかける政策には「賛成」されています(Q7)。

高齢者の就労・就業を60代後半以降にひきのばしつつ、年金支給開始年齢も引き上げていく政策には「反対」(Q8)。労働基準監督官、技官、事務官の増員には「賛成」で、労働行政の体制強化を求めています(Q9)。

あらゆる形態のハラスメントを禁止したILO「仕事の世界における暴力とハラスメントに関する条約(第190号)」を日本が批准することには、「賛成」しています(Q10)。

れいわ新選組

全設問について賛否を明記され、いずれも私たちの考え方と合致した回答でした。

記述回答では、厚生労働省所管の委員会が2001年にまとめた報告書(「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書」と思われる)にふれて、「疲労の蓄積を解消させるためには、1日7~8時間の睡眠が必要とされており、残業は月45時間が上限です」とコメント。いわゆる労働基準法の時間外労働の原則の範囲内にすべきという指摘であり、健康を害するまでの長時間残業やフリーランスや非正規を保護しない政策は「憲法25条の精神に反します」と明記しています。

このコメントからもわかるとおり、労働基準法に規定された36協定・特別条項の時間外・休日労働の上限(現行は単月100時間未満)については、引き下げることに「賛成」(Q1)。高度プロフェッショナル制度の廃止に「賛成」(Q2)。裁量労働制で働く人を増やす政策には「反対」(Q3)と回答されています。

最低賃金については「全国一律、今すぐ時給1000円、早期に1500円」という政策に「賛成」(Q4)。

解雇無効時の金銭解消制度には「反対」(Q5)。日雇い派遣の解禁も「反対」(Q6)。非正規労働者への保護についてもコメントされていますが、フリーランスに一定の保護をかける政策に「賛成」の立場です(Q7)。

高齢者の就労・就業を60代後半以降にひきのばしつつ、年金支給開始年齢も引き上げていく政策には「反対」(Q8)。労働基準監督官、技官、事務官の増員には「賛成」としています(Q9)。

ILO「仕事の世界における暴力とハラスメントに関する条約(第190号)」の批准については、「賛成」との回答です(Q10)。

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