★1万人を超える方からご賛同いただきました! ありがとうございます。
2017年2月20日――ついに1万人の皆さんから、ご賛同いただきました。ありがとうございます。
「8時間労働の原則を日常のものにしたい。ゆとりある生活を、家族との時間を手に入れたい」という、熱い想いにあふれたコメントも、数多く書き込んでいただいています。是非、コメントにもご注目ください。
◆さて、署名のテーマである労働時間問題については、2月14日に大きな動きがありましたので、以下ご報告します。
政府が「働き方改革実現会議」の場で、残業の上限時間についての案を発表したのです。内容は、以下のとおりです。
(1)まず、労働時間の原則については、従来と同じ週40時間、1日8時間を前提とする。
・使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
・使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。(労働基準法第32条)
(2)上の原則を超えた残業は、使用者と労働者の代表が「36(サブロク)協定」を結べば可能となるが、その残業の限度を、「月45時間かつ年360時間」と新しく法律に明記し、違反には罰則をつける。
(3)ただし、「臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して」別の協定を結べば、「年間最大720時間・月平均60時間」まで上限を引き上げられる。
(4)繁忙期の1か月あるいは2か月といった期間に「一時的に事務量が増加する場合」については、年間720 時間を超えないことを前提に、別途上限を設ける(今回は数字を示さず)。
(5)研究開発業務、建設事業、自動車運転業務等に、上記の残業の新しいルールを適用するかどうかは、別途、検討する。
◆皆さん、この政府案について、どのように思われますか?
今の労働基準法より「マシになる」というご意見もあろうかと思います。しかし、8時間プロジェクトとしては、政府案には問題があると考えます。
A)政府は法改正にあたり、「脳・心臓疾患の労災認定基準」をクリアするとしています。そこで、認定基準をみてみると、「発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まる」と書かれています。実際の、過労死等の実態から、国がこうした目安を設定しているわけですから、月45時間を超える残業を認めることは、法律が過労死等を容認することになります。
要するに、政府案(2)の月45時間を残業の絶対上限とし、(3)の抜け道をなくせば、真に労災認定基準をクリアした、整合性のとれた法制度となるわけです。
そもそも、「臨時的な特別の事情」として「年720時間」もの労働時間をかかげるのはおかしいです。1年中、常に忙しくて、残業が720時間などという状況なら、それは人手不足ということ。雇用を増やせば解決できます。もし1年中トラブル続きというのなら、経営者の責任が問われるべきこと。業務の在り方の見直しが必要であって、労働時間法制を緩める理由にはなりません。
B)次に、安倍首相は、終業から次の始業までの「勤務間インターバル規制」も検討すると話されていました。ヨーロッパで導入されている、24時間のうちに、最低でも11時間の休息を確保するというルールですが、これが、政府案には一言もふれられていません。
日本経団連の榊原会長は、「日ごとに労働時間を調整しようとすると、業務の継続性に支障を来すおそれがあるので、導入については慎重な対応が必要」とおっしゃっています。しかし、人間の身体には、1日の生体リズムがあります。1日ごとに8時間という労働の原則を定め、他の16時間は睡眠や食事、休憩などの生理的な時間や自由時間にあてる。それによって「人としての生活」ができるということです。榊原さんは、仕事熱心なあまり、人の心身の健康に思いが至らなくなっているのではないでしょうか。
労働時間は年間、月間の総量規制だけでは、足りません。人は1日単位で暮らしていますから、インターバル規制は、必須です。
C)もうひとつ、クレームをつけさせてください。国会で、継続審議あつかいとされている内閣提出法案に、長時間労働・過労死を促進する「裁量労働制の拡大」と「労働時間規制の適用除外制度(高度プロフェッショナル)の創設」法案が提出されたままとなっています。過労死をなくすなら、これを撤回すると明言していただく必要があります。
政府は、せっかく、ザル法ともいわれた労働時間法制に、「規制強化をほどこす」決意をされたのですから、地面に張り付いて命を守れないような「ゆるゆるネット」を張らないでください。さらに、ネットを準備しながら、そこに大穴をあける「規制緩和法案」をセットにすることは、止めてください。
今国会の冒頭で、安倍首相は、高橋まつりさんの過労自死に言及して、「二度と悲劇を繰り返さないとの強い決意」を語られました。
その決意を、労働基準法の改正の中で示していただけないでしょうか。
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